益母草(ヤクモソウ)
[基原]
シソ科(Labiatae)メハジキ Leonurus japonicus Houttuyn または L. sibiricus Linné の花期の地上部
産地:長野県、貴州省、山東省、吉林省
[異名別名]
茺蔚(ジュウイ)、益母(ヤクモ)、益明(エキメイ)
[選品]
茎、葉および花からなるが、葉の多いもの、青味を帯びた新しいものが良い。茎は細く、質が柔らかく、緑色をしており、夾雑物のないものを良品とする。
[成分]
アルカロイド(レオヌリン、スタキドリン、レオヌリジン、レオヌリミン)、フラボノイド(ルチン)、有機酸など
[薬理]
抽出物:子宮筋収縮力・緊張性の増強、血液凝固促進
ルチン、レオヌリン、レオヌリジン、スタキドリン:子宮筋興奮、利尿、降圧
[効能主治]
性味:辛苦、涼
帰経:心包(シンボウ)、肝
効能:瘀血を除き血行を促す、月経を調える、利尿して水腫を除く
主治:月経不順、月経閉止、後産が下りないもの、産後のめまい、瘀血による腹痛、不正子宮出血、血尿、血便下痢、化膿性の各種できもの
[引用文献]
神農本草経:瘾𤺋癢(インシンカユ)きを主る。浴場を作るべし(茺蔚子の項の茎の部分)
本草綱目:血を活し、血を破り、経を調え、毒を解し、胎漏(タイロウ)、産難、胎衣(タイイ)下らず、血運、血風、血痛、崩中漏下(ホウチュウロゲ)、尿血、瀉血(シャケツ)、疳痢(カンリ)、痔疾、打撲内損の瘀血、大小便の不通を治す(茺蔚の項の茎の部分)
◯現代における運用のポイント◯
緊張緩和作用
四肢および腹部の緊張緩和をはかり、四肢の筋肉痛・けいれん、および腹痛を治す
通経作用
瘀血を除き、婦人科系の働きを調え、月経不順・こしけ・月経痛を治す
止汗作用
体表の衛気を補い、寝汗過多を治す
【注意事項】
妊娠時はサプリメント等による過剰摂取は避ける
参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)