蘇葉(ソヨウ)
[基原]
シソ科(Labiatae)シソ Perilla frutescens Britton var. crispa W. Deane の葉および枝先
局方規格:本品は定量するとき、換算した生薬の乾燥物に対し、ペリルアルデヒド 0.08% 以上を含む
産地:四国、本州、北海道、広東省、安徽省、浙江省、河北省、ベトナム
[異名別名]
紫蘇葉(シソヨウ)、蘇(ソ)、尖紫蘇(センシソ)、皺紫蘇(シュウシソ)、赤蘇(セキソ)、紫蘇(シソ)、紅紫蘇(コウシソ)
[選品]
開花直前の葉身で、葉が大きく肉が厚く紫色で、砕けておらず、芳香が強く、枝や柄のないものが良品とされる。また、年月の経過したものは避け、なるべく新しいものが良い。薬用には葉の両面または下面が紫色のもの(チリメンジソと言われる)が香気が強く良品とされる。香りの薄いものは、精油成分の不足しているものがあるので注意する。
貯蔵:精油の揮散を防ぎ、香気を保つため気密保存するのが望ましい。
[成分]
精油(ペリルアルデヒド、リモネン、α-ピネン)、アントシアニン、フラボノイドなど
[薬理]
抽出物:解熱、ヘキソバルビタール睡眠延長、自発運動抑制
ペリルアルデヒト:ヘキソバルビタール睡眠延長、上咽頭神経反射抑制、神経節細胞と坐骨神経線維の興奮の抑制(局所麻酔)、抗白癬菌
[効能主治]
性味:辛、温
帰経:肺、脾
効能:発汗し、皮下に停滞する寒邪を散らす、営気を調える
主治:風寒による感冒、悪寒発熱、咳嗽、喘息、神経性の咳および咽喉の違和感、胸腹部の張りと膨満感、流早産の予防、魚介類の中毒予防および治療
[引用文献]
名医別録:氣を下し、寒中を除く(蘇の項)
本草綱目:肌を解し、表を発し、風寒を散じ、氣を行(メグ)らし、中を寛(ユル)め、痰を消し、肺を利し、血を和し、中を温め、痛を止め、喘を定め、胎を安んじ、魚蟹の毒を解し、蛇、犬の傷を治す(蘇の項)
古方薬品考:芳を発し、氣を下し、鬱を開く
古方薬議:氣を下し、寒を除き、中を寛(ユル)め、上氣咳逆を主り、胃を開き、食を下し、魚蟹の毒を解す
◯現代における運用のポイント◯
発汗解表作用
軽い発汗作用があるので、軽度の感冒の初期に用いる
鎮咳・去痰作用
肺機能を調え、嘔気を止める
健胃・止嘔作用
胃の機能を調え、嘔気を止める
解毒作用
カニ・エビ・魚貝類の中毒を予防し、解毒する
[配合処方]
藿香正気散、杏蘇散、九味檳榔湯、鶏鳴散加茯苓、香蘇散、紫蘇飲、柴朴湯、参蘇飲、神秘湯、蘇子降気湯(紫蘇子の代用として)、半夏厚朴湯、茯苓飲合半夏厚朴湯
【備考】
基原:
シソの果実は紫蘇子といい、生薬として用いられる。
選品:
シソは、アントシアン系の赤色色素の有無によって、赤ジソと青ジソに分けられるが、薬用には赤ジソが用いられる。
参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)