蒼耳子(ソウジシ)

 

[処方用名]

蒼耳子

 

[基原]

キク科 Compositae の オナモミ Xanthium strumarium L.の成熟果実。



[性味]

甘・苦、温。小毒



[帰経]

肺・脾



[効能と応用]

①散風通竅
風寒の頭痛や鼻淵(副鼻腔炎)の鼻閉・鼻汁に、辛夷・白芷・薄荷などと用いる。

②除湿止痛
風湿痺の関節痛・ひきつりに、防風・羌活・独活・当帰・川芎などと使用する。

風止痒
風湿による皮疹の瘙痒に、白蒺蔾・蟬退・地膚子・白鮮皮などと使用する。



【臨床使用の要点】

蒼耳子は甘苦・温で、温和で達し苦で燥湿し、甘緩で峻ではなく、散風祛湿・琉散宣通の効能をもつ。「諸子みな降るも、蒼耳ひとり昇る」 といわれるように、上は巔頂(頭頂)に達して通竅止痛し、下は足膝に外は皮膚に達するので、風寒頭痛、鼻淵流涕、瘡疹痛痒、痺痛拘などに有効である。



使用上の注意

①燥烈ではないので虚証にも応用してよいが、血虚の頭痛・痺痛に用いてはならない。


②大量に服用すると、中毒により死亡する危険性がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献:「[新装版]中医臨床のための中薬学」(東洋学術出版社)