「気」について:気虚(キキョ)・気滞(キタイ)

気虚    気滞

 

 東洋医学の考え方の一つに「気血水」という考え方があります。この考え方は人間のからだを川に例えるとわかりやすいと思います。


 「気」というのは、「元気」や「やる気」の気で、いろいろなものを動かす力です。主に胃腸(東洋医学では「脾」と呼ぶ)や肺で作られ、その流れは「肝」で調整されます。

元気で「気」の量がたくさんあると、川の水がたくさん運ばれて量が増え(気の量=川の水の量)、心も体も活発になり悪いものを体内に溜めなくなります。

ストレスや病原菌・アレルゲンなど、多少の悪いものが川に流れ込んできても、川の勢いがあるので、すぐにからだの外へ排出することができます。やる気に満ち、食欲旺盛、良い便が毎日出て、風邪もひかずに悩みごともなく、勢力的に活動できます。

周りの土地の栄養である「」も十分に供給されるので、周囲の木々も肥沃な状態を保つことができます。

肌や髪の毛、爪、筋肉に栄養が行き渡り、女性も男性も美しくなります。脳もしっかり機能するので、感情も安定し、睡眠が深くなります。


 ところが、気が少ない状態の「気虚」になると、川の水量は少なく勢いもないので、ちょっとした悪いものが、からだの中に停滞してしまいます。

アレルゲンが体外に排除できないと、だらだらといつまでも風邪をひきます。元気ならば気にしないようなことも気になってしまい、忘れることができません。食欲もあまりなく、便秘と下痢を繰り返して、あれもこれもスムーズに流れません。

川の流れがとどこおると「気滞」という状態になり、のどがつまって息苦しくなったり、ため息が増え、お腹にガスがたまります。不安が強くなり、息が吸いにくく過呼吸になることもあり、女性はおりものが増えます。


 こうして溜まってしまった川の乱れを整地するのが「肝」の機能です。

「肝」はストレスやアルコール、動物性脂肪(特に量産された牛鳥豚)、あるいは生理やホルモン剤によって機能が低下します。うまく整地ができなくなるので、いろいろなものが川にたまって、ひどいときは川が逆流して「気逆」という状態になると、イライラが出て、食欲の波が激しくなります。

溜まるものには「熱」もあり、熱がたまると、冷たい炭酸などを飲みたくなり、過食やほてりが強くなり、血虚などで皮膚が弱ければ、入浴後にかゆくなる蕁麻疹がでることもあります。

人間には「わるいときにわるいものに惹かれる」という性質があるので、肝の機能が落ちると、肝の機能を落とす脂っこいものやアルコールを欲しくなるという悪循環に陥り、イライラや過食が強くなり、さらには肝の機能が悪くなります。