山梔子(サンシシ)

[基原]

アカネ科(Rubiaceae)クチナシ Gardenia jasminoides Ellis の果実

 

局方規格:本品は定量するとき換算した生薬の乾燥物に対しゲニポシド3.0%以上を含む

 

産地:広西、江西省、湖北省、浙江省、韓国



[異名別名]

梔子(シシ)、巵子(シシ)小巵子(ショウシシ)、黄鶏子(オウケイシ)、黄梔子(オウシシ)

 


[選品]

乾燥が良く、粒が揃い、内外の色が紅色で丸形のものを良品とする。色素の酸化により年々色が悪 くなるため、新しいものが良い。

 

貯蔵:本品は、虫やカビが付きやすいので乾燥の良い場所に保管する。遮光するのが望ましい。

 

[成分]

イリドイド配糖体(ゲニポシド、ゲニピン)、カロテノイド系色素(クロシン)な ど

 


[薬理]

抽出物:胆汁分泌促進、血圧下降、緩下、血中ビリルビン量の上昇を抑制 

ゲニポシド:肝細胞障害抑制、大腸内容物輸送促進、胆汁分泌促進、パパベリン様鎮痙作用、胃運動抑制、胃液分泌抑制、抗コリン作用

 

 

[効能主治]

性味:苦、寒

帰経:心、肝、肺、胃

効能:清熱する、充血性の炎症を鎮める、外用として消炎湿布薬として用いる

主治:熱病,、胸中の煩悶感、不眠、黄疸、淋病、消渇(ショウカチ)、結膜炎、吐血、鼻出血、血便下痢、血尿、炎症性の腫れ物、潰瘍状のできもの、外用して捻挫、挫傷、打撲

 

 

[引用文献]

神農本草経:五内の邪氣、胃中の熱氣、面赤、酒皰皶鼻(シュホウサビ)、白癩(ハクライ)、赤癩(セキライ)、瘡瘍(ソウヨウ)を主る(子の項)

古方薬品考:吐を兼ね、煩熱当(マサ)に除くべし(梔子の項)

重校薬微:心煩(シンパン)を主治し、身熱、発黄を兼治す(梔子の項)

古方薬議:胸心、大小腸の大熱、心中煩悶を療し、小便を通じ、五種の黄病(オウビョウ)を解し、大病を治し労より復帰す(梔子の項)

 

 

◯現代における運用のポイント◯

精神安定作用

胸部の煩熱を治し、上衝した気を鎮め精神安定をはかり、煩悶感を除く。

黄疸治療作用

発熱性の黄疸に対して熱を除き、黄疸を治す。

抗腫瘍作用

熱性の目の充血・酒皶(シュサ/赤鼻)・鼻出血などに用い、炎症を鎮め、充血を解消する。 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)