芦根(ロコン)

[処方用名]

芦根・鮮芦根・活芦根・乾芦根・葦茎・葦根

 

 

[基原]

イネ科 Gramineae のアシ Phragmites communis Trin. の根茎を乾燥したものあるいは新鮮なもの。茎はアシの地上茎である。 現在市場の芦根には、地下茎と地上茎を混用したものもある。


[性味]

甘、寒



[帰経]

肺、胃



[効能と応用]

①清熱生津

熱病傷津による熱感・口渴・舌の乾燥などの症候に、天花粉・麦門冬などと用いる。 

②清肺瀉熱

外感風熱による発熱・咳嗽・口乾・舌の乾燥などの症候に、菊花・桑葉・杏仁・金銀花・連翹などと用いる。

肺癰(肺膿瘍)の悪臭のある膿性痰・血痰などの症候に、薏苡仁・桃仁・冬瓜子・魚醒草などと使用する。

③清胃止嘔

胃熱の嘔吐・嘔気・吃逆などに、単味であるいは竹筎・枇杷葉などと用いる。

④宣毒透疹

麻疹の初期や透発が不十分なときに、単味であるいは葛根・升麻などと用いる。

⑤その他

芦根は利小便に働くので、熱淋の尿が濃く少ない・排尿困難・排尿痛などの症候に、車前子・萹蓄・茅根などと用いる。

フグ中毒に対して解毒に働くので、鮮芦根を搗(ツ)き砕いた汁か煎汁を頻回に服用する。



【臨床使用の要点】

芦根は甘寒で質が軽く、肺胃気分の熱を清し生津止渇に働き、清淡で膩でなく生津して斂邪の弊がないので、温病初期あるいは熱病傷津の煩熱口渇に常用する。また、清胃熱・止嘔噦および清肺熱・利小便により肺部熱毒を下行する効能をもつため、胃熱嘔逆・肺熱咳嗽・肺癰・肺腎鬱熱の小便頻数などに対する要薬である。このほか、宣達透疹の効能もあり、麻疹初期に使用する。



参考

新鮮品(鮮芦根・活芦根)が効能にすぐれ、乾燥品(乾芦根)は効力が劣る。茎はアシの地上部であり、根茎(根・芦根)ではないが、効能は基本的に同じであるから、芦根で代用してよい。

 

 

[使用上の注意]

①薬性が緩和であるから大量を使用する必要がある。

②胃寒・痰湿・気虚・陽虚には禁忌である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献:「[新装版]中医臨床のための中薬学」(東洋学術出版社)