黄芩(オウゴン)

 

[基原]

シソ科(Labiatae)コガネバナ Scutellaria Baicalensis Georgi の周皮を除いた根

局方規格:本品は定量するとき換算した生薬の乾燥物に対しバイカリン10.0%以上を含む

産地:河北省、吉林省、山西省、雲南省、山東省、遼寧省、安徽省、内蒙古、陜西省



[異名別名]

(ジョウゴン)、故(コゴン)、片(センゴン)、尖(センゴン)



[選品]

長く、根の先端の細い部分が少なく、色が黄色で質が堅く、中身が充実し、味の苦いものを良品とし、中身が充実せず空洞(ウツロ)があるものは次品である。老根は中のアンコを除いて用いる。乾燥した黄芩を水で濡らし、再び乾燥すると黄色部分が緑色に変わる。野生品は、鮮黄色で太いものほど中がうつろでアンコが枯れ死にしたものがあり除去して用いる。緑色のものは栽培品で3年生くらいまでうつろはできない。

貯蔵:本品は、虫がつきにくいが、湿気がつくとカビが発生して変質の原因となるので、乾燥し、風通しの良い場所に保管する。



[成分]

フラボノイド(オウゴニン、バイカリン、バイカレイン)など



[薬理]

抽出液:胆汁分泌促進、降圧、緩下、動脈硬化防止、抗アレルギー、抗炎症
バイカレイン、バイカリン:解毒、抗アレルギー



[効能主治]

性味:苦、寒
帰経:心、肺、胆、大腸
効能:清熱する、湿熱を除く、止血する、安胎作用を有す
主治:高熱による煩渇、肺の炎症による咳嗽、湿熱による下痢、黄疸、熱または結石などによる排尿障害、嘔気、鼻出血、子宮出血、遺精、目の充血性の腫痛、流産しかかったもの、できもの、化膿性の腫れ物



[引用文献]

神農本草経:諸熱黄疸、腸洩痢(チョウヘキセツリ)、水を逐(オ)い、血閉を下し、悪瘡、蝕、火瘍を主る
古方薬品考:宜しく膀胱を利すべし
重校薬徴:心下
痞(ヒ)を主治す。胸脇苦満、心煩(シンパン)、煩熱下痢を兼治す
古方薬議:諸熱、黄疸、
痢を主り、小腸を利し、擁気を破る

 


◯現代における運用のポイント◯

清熱作用

胃腸・肝臓・肺の炎症を治し、少陽病の発熱に対し解熱作用を発揮する

瀉作用

胃腸における湿熱性の下痢に有効である

安胎作用

妊婦の流産防止に用いる。特に、炎症や発熱を伴うものに有効である

止血作用

発熱を伴う出血性疾患(鼻出血・吐血・血便・子宮出血)に有効である

 


[配合処方]

温清飲、黄芩湯、黄連阿膠湯、黄連解毒湯、乙字湯、乙字湯去大黄、加減涼膈散(浅田)、加減涼膈散(龔延腎)、葛根黄連黄芩湯、加味解毒湯、甘草瀉心湯、甘露飲、荊芥連翹湯、五淋散、柴葛解肌湯、柴葛湯加川芎辛夷、柴陥湯、柴梗半夏湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡枳桔湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯、柴胡清肝湯(散)、柴蘇飲、柴朴湯、柴苓湯、三黄散、三黄瀉心湯、三物苓湯、滋腎通耳湯、潤腸湯、生姜瀉心湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小続命湯、辛夷清肺湯、清肌安蛔湯、清湿化痰湯、清上蠲痛湯(駆風触痛湯)、清上防風湯、清心蓮子飲、清肺湯、洗肝明目湯、大柴胡湯、大柴胡湯去大黄、当帰散、二朮湯、女神散(安栄湯)、半夏瀉心湯、防風通聖散、補気健中湯(補気建中湯)、奔豚湯(金匱要略)、竜胆瀉肝湯

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)