香豉(コウシ)

[基原]

マメ科(Legumninosae)ダイズ Glycine max Merrill の成熟した種子を蒸して発酵 加工したもの

 

産地:中国(広西、広東省)



[異名別名]

豉(シ)、大豆豉(ダイズシ)、淡豆豉(タンズシ)、豉(ズシ)、豉(タンシ)、香豆豉(コウトウシ)、清豆豉(セイズシ)

 


[選品]

色が黒く、質が柔らかく、香気があり、種皮がつき充実しているものを良品とする

 

貯蔵:虫害やカビを防ぎ、香気を保つため、低温で湿度の低い場所に気密保存するのが望ましい

 

 

[成分]

糖質、脂質、タンパク質、ペプチド、プテリジン誘導体(ビタミンB2)など

 


[薬理]

抽出物:抗酸化活性、抗変異原活性、抗血脂

 

 

[効能主治]

性味:苦辛、平

帰経:肺、胃

効能:発汗する、除煩しうつ症状を除く

主治:カゼの初期症状、悪寒、発熱、頭痛、心煩、胸部の不快感、懊憹(オウノウ)して眠れないもの

 

 

[引用文献]

名医別録:傷寒、頭痛寒熱、瘴氣(ショウキ)、悪毒、煩燥、満悶、虚労して喘吸し、両脚疼冷するものを主る。また六畜胎子の諸毒を殺す(豉の項))

古方薬品考:虚煩満悶(キョハンマンモン)を升散す

重校薬徴:心中を主治し、心中結痛および心中満して煩するを兼治する

古方薬議:煩燥、満悶を主り、氣を下し、中を調へ、毒薬に中るを治し、並に犬咬を治す

 

 

◯現代における運用のポイント◯

治うつ除煩作用

胸部のうつ熱による煩悶感を除き、心中懊憹および不眠を治すが、香豉単味では弱く、必ず山梔子と配合して用いる。

催吐補助作用

催吐作用を持つ薬物と配合することによって、催吐作用の増強をはかる。

 

 

[備考]

基原:

『中華人民共和国葯典』には、香豉の製法として「桑葉、青蒿各 70〜100gに水を加えて煎じた後、ろ過し、煎液に洗った大豆1,000gを入れる。煎液が吸収された後、竹串などが突き通るまで蒸して取り出し、冷まして再び容器に入れる。先に煎じた桑葉と青の煎じかすでふたをし、黄色いおおいが生じるまで発酵させる。取り出したら煎じかすを取り除き、洗浄してから再び容器に入れ、15〜20日間十分発酵させる。香気があふれ出てきたら取り出し、少し蒸して乾燥するとでき上がる」とある。

 

 

 

 

 

参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)