菊花(キクカ)
[基原]
キク科(Compositae)①キク Chrysanthemum morifolium Ramatulle または②シマカンギク C. indicum Linné の頭花 *備考参照
産地:①浙江省、安徽省、②四川省、広東省
[異名別名]
①甘菊(カンギク)、黄甘菊(オウカンギク)、甘菊花(カンキッカ)、抗菊花(コウキッカ)、②野菊花(ノギクカ)
[選品]
花弁が整い、色が鮮やかで芳香があり、茎葉の混在しないものを良品とする。古くなり褐色を帯びているものは次品である。薬用には花色が淡黄色または白色のものを用いる。①大型の菊花(キク)は大きく、味が甘いもの、②小型の野菊花(シマカンギク)は味が苦く、続いて清涼感があるものが良いとされる。
貯蔵:虫害を防ぎ、香気を保つため、低温で湿度の低い場所に気密保存するのが望ましい。
[成分]
精油、クレサンテミン、フラボノイドなど
[薬理]
抽出液:抗菌
抽出物:毛細血管抵抗力増強
[効能主治]
性味:甘苦、涼
帰経:肺、肝
効能:風邪(フウジャ)を除く、清熱する、目を明らかにし充血をとる
主治:頭痛、めまい、目の充血、胸部の煩悶感、疔瘡腫毒
[引用文献]
神農本草経:風頭、頭眩(ズゲン)、腫痛、目脱せんと欲し涙出ずるもの、皮膚の死肌(シキ)、悪風(オフウ)、湿痺を主る
◯現代における運用のポイント◯
明目作用
目の充血・かすみ目などの種々の眼性疾患に用い、目を明らかにする
辛涼発表作用
温病(ウンビョウ)性の感冒に対して解毒し、頭痛・眼痛を治す
[配合処方]
杞菊地黄丸、滋腎明目湯、清上蠲痛湯(駆風触痛湯)、洗肝明目湯、釣藤散
【備考】
基原:
1.菊花は、①菊花〔キク C. morifolium Ramatulle(大型のもの:甘菊とも言う)〕と、②野菊花〔シマカンギク C. indicum Linné(小型のもの)〕とに分かれる。日本では両者が流通しており、通常、菊花と言うと野菊花を指す。中国では菊花(大型)が利用されており、野菊花は別の生薬として考えられている。中国の菊花(大型)の種類は多く、産地や調整法によりさまざまな名称がある。日本に輸入されている菊花(大型)は抗菊花である。なお、菊花(大型)は菊花茶としても有名である。
2.広東省の漢菊花(カンキッカ)は、C. lavandulacfolium Makino とされる。
参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)