［処方用名］

淫羊藿、仙霊脾

 

［基原］

メギ科 Berberidaceae のシロバナイカリソウ Epimedium macranthum Morr. et Decne.、ホザキイカリソウ E. sagittatum Maxim.、E. brevicornum Maxim. などの葉。市場には全草品もあり、同様に利用される。

［性味］

辛・甘、温

［帰経］

肝・腎

［効能と応用］

①補腎壮陽・強筋骨
腎陽虚のインポテンツ・勃起不全・腰や膝がだるく無力・不妊・頻尿・尿失禁などの症候に、単味を酒につけて服用するか、熟地黃、枸杞子・肉蓯蓉・仙茅などと用いる。
腎陰陽両虚には、仙茅・巴戟天・知母・黄柏などと用いる。

②祛風除湿

風寒湿痺の関節痛・しびれ・運動障害などに、桑寄生・威靈仙・秦艽などと使用する。

③その他
止咳平喘・祛痰の効能があり、陽虚の咳嗽、呼吸困難に、単味であるいは補骨脂・胡桃仁・五味子などと用いる。

【臨床使用の要点】

淫羊藿は辛甘・温であり、甘温で補い辛温で散じ、補腎壮陽・強筋骨および祛風除湿に働く。腎陽不足の陽萎・腰膝無力・不育および風寒湿痺の疼痛麻木に適する。

［参考］

①淫羊藿の効能は仙茅に似るが、仙茅は薬力が猛烈であり、淫羊藿はやや緩和である。

②淫羊藿は効能が巴戟天・肉蓯蓉にも似るが、巴戟天・肉蓯蓉は温で不燥であり、淫羊藿は燥で不潤で効力も強い。

 

［使用上の注意］

性質がやや燥烈で傷陰助火するので、陰虚火旺には禁忌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献：「［新装版］中医臨床のための中薬学」（東洋学術出版社）