防風(ボウフウ)
[基原]
セリ科(Umbelliferae)Saposhnikovia divaricata Schischkin の根および根茎
産地:吉林省、遼寧省、黒竜江省、内蒙古
[異名別名]
宇田防風(ウダボウフウ)、種防風(タネボウフウ)、筆防風(ヒツボウフウ)、真防風(シンボウフウ)、唐防風(カラボウフウ)
[選品]
黄切面の中心部が淡黄色で、質が充実し、潤いがあって香気強く新鮮なものが良品である。軽質で中に「ス(細かな空洞)」が入ったものはエキス含量不足のものが多く不良である。
貯蔵:虫害を防ぎ香気を保つため、低音で気密保存するのが望ましい。
[成分]
クマリン誘導体(デルトイン、ベルガプテン)、クロモン誘導体など
[薬理]
抽出物:アジュバンド関節炎の抑制、抗炎症、鎮痛
[効能主治]
性味:辛甘、温
帰経:膀胱、肺、脾
効能:発汗し、風邪(フウジャ)を除く、湿を除き止痛する
主治:感昌、頭痛、めまい、首の硬直、風寒湿痺、関節の疼痛、四肢の引きつけ・けいれん、破傷風
[引用文献]
神農本草経:大風(タイフウ)、頭眩痛(スゲンツウ)、悪風(オフウ)、風邪(フウジャ)、目盲見る所無し、風(フウ)、身を行周(コウシュウ)し、骨節(コッセツ)疼痺、煩満(ハンマン)するを主る
古方薬品考:風(フウ)を逐(オ)い、骨節の瘀(オ)を散ず
古方薬議:風周身を行(メグ)り、骨節疼痺するを主り、頭目中の滞氣を散じ、頭眩痛、四肢攣急(レンキュウ)を治す
◯現代における運用のポイント◯
発汗・鎮痛作用
発汗により風寒湿の三邪を除き、頭痛・めまい・関節痛を治す
[配合処方]
荊芥連翹湯、桂枝芍薬知母湯、荊防敗毒散、十味敗毒湯、小続命湯、駆風解毒散(湯)、消風散、秦艽防風湯、清上蠲痛湯(駆風触痛湯)、清上防風湯、洗肝明目湯、川芎茶調散、千金内托散、疎経活血湯、大防風湯、治頭瘡一方、治頭瘡一方去大黄、釣藤散、当帰飲子、独活湯、防風通聖散、立効散、麗沢通気湯、麗沢通気湯加辛夷
【備考】
セリ科の植物ハマボウフウ Glehnia Littoralis Fr. Schmidt ex Miquel を基原とする浜防風(ハマボウフウ)という生薬がある。これは、江戸時代に防風の代用として使われていたが、中国の北沙参(ホクジャジン)のことであって、防風とは別物である。鎮咳、去痰には効果があるが、発汗解熱作用はない。浜防風と区別するために防風を唐防風(カラボウフウ)、真防風(シンボウフウ)と呼んだ。
参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)