香附子(コウブシ)

 

[基原]

カヤツリグサ科(Cyperaceae)ハマスゲ Cyperus rotundus Linné の根茎

産地:浙江省、山東省、江西省、貴州省、湖北省、北朝鮮



[異名別名]

香附(コウブ)、莎草根(サソウコン)、莎草香附子(サソウコウブシ)



[選品]

通例、外皮が除かれ、粒が大きく肥厚し、色は白紅色〜紫紅色で光潤しており、質は堅く、充実して、香りの濃厚なものを良品とする。形が小さく、質が軽く、香りの少ないものは次品である。

貯蔵:精油を含み、また虫がつきやすいので、低温の場所で気密保存するのが望ましい。



[成分]

精油(α-シペロン)、トリテルペノイドなど



[薬理]

抽出物:摘出回腸に対し抗ヒスタミン、抗バリウム作用



[効能主治]

性味:辛微苦甘、平
帰経:肝、三焦(サンショウ)

効能:気を調え鬱を解消する、月経を調え止痛する
主治:肝鬱、胃の機能不全、胸腹・胸肋の張りと痛み、痰飲による心下部の痞(ツカ)え、帯下の止まらないもの



[引用文献]

本草綱目:時氣の寒疫を散じ、三焦を利し、六鬱を解き、飲食の積聚(シャクジュ)、痰飲痞満、肘腫(チュウシュ)、腹脹、脚氣を消し、心腹、肢体、頭、目、歯、耳の諸痛、癰疽痬(ヨウソソウヨウ)、吐血、下血、尿血、婦人の崩漏(ホウロウ)帯下、月経不順、産前産後の百病を止める(莎草香附子の項)


 

[配合処方]

烏苓通気散、枳縮二陳湯、芎帰調血飲、芎帰調血飲第一加減、香砂平胃散、香砂養胃湯、香砂六君子湯、香蘇散、五積散、柴胡疎肝湯、柴蘇飲、滋陰至宝湯、滋腎通耳湯、椒梅湯、川芎茶調散、竹茹温胆湯、二朮湯、女神散(安栄湯)、分消湯(実脾飲)

 

 

 

 

 

 

 

参考文献:「漢方294処方生薬解説」(じほう)